”パフォーマンス”を上げる、成果を上げるというのは監督者の任務であり、一番頭を悩ませる部分ではないでしょうか?
今回はそんな業務効率を最大限にするパフォーマンスを向上させる要素についてまとめます。
新しい部署に異動になりました。けど、この組織に対する
社内関係部署からの評判が悪いんですよね。
どうやって効率よく組織のパフォーマンスを図るか悩んでます。
高い成果を発揮させるには、個人の能力を上げることと、
組織の凝集性(一体感)を高めて目的に対して一点集中で
力を発揮させることの2点が重要ですよ。
1点目:”個人のパフォーマンス”向上
個人のパフォーマンスを数式化するとこのように表されます。
パフォーマンスは、コンピテンシーとモチベーション、スキルや知識技術の掛け算によって極大化し、さらに経験はこれらすべての底上げを行う要素となります。
ですから、パフォーマンスを向上させようと思ったら、短期的な施策としては「コンピテンシー」、「モチベーション」、「スキルや知識・技術」を向上させる必要がありますし、長期的には経験を積ませる施策を取る必要があります。
コンピテンシーを向上させるには
まず、コンピテンシーとは、”優秀な成果を出す社員が共通して持つ特性”を指します。
要するに、良い成績を上げる社員を集めて、なぜ彼らが目標を達成し、優秀な成果をあげられるのか、共通する特性を見つけ出します。
そして、その特性を他の社員も身に着けることができれば、チーム全体のコンピテンシーの向上が図れるということです。
具体的には?
顧客との調整が上手な営業社員を複数名ピックアップしてみて、彼らに共通する作業や注意している点を抽出してみたところ、
①打ち合わせ前には顧客に対してアジェンダおよび、説明資料を送付していた
②打ち合わせ終了後、翌日までには議事録を作成し顧客へ内容確認の依頼をしていた
この2点がコンピテンシーとして抽出できたとします。
そうしましたら、他の社員も高いパフォーマンスを示す社員の行動に学び、自らを高められるようにするために、どういった行動が良かったのか、高いパフォーマンスを示した行動に対して表彰を行うなどチーム内へ認知させる。
このような感じで、チーム内へ浸透させていくと良いでしょう。
注意点
部下が困った場合などに”ミスをしないようにプロセスを監視”するような、それぞれのやり方まで細かく注意するようではネガティブになりやすいので、”どのようにすれば良いかをアドバイス、サポートしていく”ようなポジティブな発想で対応します。
また、トップダウンでやらせるだけでは、なかなか定着しません。
権限に付属する行動であれば権限を委譲するなど、自身が自ら学び、実行しやすい環境を作ってあげることがとても重要になります。
モチベーションの向上
モチベーションを向上させるための視点はとても多くありますので、これだけでもすごいボリュームとなります。そのため、細かくまとめた記事は別で用意したいと思いますので、今回は少し簡単にまとめた内容とします。
モチベーションとは、要はやる気です。
このやる気をどう高めていくかという理論は多くの研究者によって研究されていますが、多くが欲求説に基づくものが多くなっています。
具体的には
それでは、ご自身がどのような仕事をしているときに集中力が増し、楽しいと感じ、取り組むことができるでしょうか?
考えてみると、このようなことが思い当たりませんか?
- その仕事をする上での作業量や質、作業範囲が周囲と比べて少し難しい場合
- 仕事を任される範囲がいつもより広く、自分の努力が感じられるような仕事の場合
- その仕事をすることで、他者に大きなメリットが与えられる場合
- 計画立案や手順、方法などに自身の思いや考えが投影できる場合
- その仕事を通じて学びが得られたり、何かしらのフィードバックが返ってくる場合
これらはJDS(Job Diagnostic Survey)モデルという考え方を参考に抜粋したものですが、納得いくところも多いのではないでしょうか?
また、それ以外にも有名で多くの人が共感できるものが
- 本人が納得している場合に難易度の低い目標よりも少し高い目標が与えられた場合
- 目標が曖昧なものではなく、明確な場合
- 上司に与えられるだけではなく、一緒に考えた目標の場合
いかがでしょう?
こちらは、ロックの目標設定理論の抜粋ですが、聞いたことありますよね?
こういったことに注意してチーム内の目標や仕事の割り振り、指示、指導を行うことでモチベーションの向上を図ることができます。
スキル、知識や技術の向上について
勉強することもそうですが、技術職などの場合だと特にイメージしやすいかと思います。
ベテランがここまで鍛え上げてきたスキル、知識や技術というのは勘やコツが大事で、昔ながらの”俺の背を見て学べスタイル”では習得に時間がかかるスキルを、マニュアル化、ツール化することで、短期間で習得できる環境を整えスキルの向上に大きな効果が得られます。
具体的には
この分野の研究はナレッジマネジメントと言い、どのように個人の中にあるスキル、知識や技術を表出かさせて、チーム内に共有させるかなどを考えた理論になります。
暗黙知の形式知化という言葉は聞いたことがないでしょうか?
暗黙知とは、個人の中に隠れている明文化されていないノウハウや経験、スキル、知識や技術を指します。
形式知とは、マニュアル化などされて広く共有された状態のノウハウや経験、スキル、知識や技術を指します。
ですから、係長や課長などの長年の経験からくるノウハウなど、隠してここぞというときに「これはこうするんだ」と、いうのではなく、それを普段からチーム内のみんなが使えるようにマニュアル化するなど、公開しておくことが必要です。
注意点
この暗黙知と形式知ですが、どちらが良くてどちらが悪いということではありません。
よく、暗黙知が悪く、形式知化することを求める指導など耳にしますが、スキルを練り上げて昇華させていくには暗黙知の状態で高めていくほうが効率的です。
しかし、これでは一人だけの技術となってしまいますから、ある程度の水準にまで高められた暗黙知は、表出化させて広く共有をさせるために形式知化します。
形式知化された知識を習得することで新たな考え方や方向性へのつながりが生まれ、競争力の源泉となるアイデアの創出にもつながりますし、チーム内のスキルの底上げともなります。
この考えはSECIモデルと言われる理論です。また折を見てこちらも別でまとめたいと思います。
経験の底上げ
もうこれは、やらせてみるしかありません。
いくら効率が良いからと言って、担当者クラスに実務を経験させず、苦労させず、失敗させずにいることは将来的な技術の衰退につながります。
特に製造業など、技術が要の業種においては特に、現在の短期開発、短納期に対応するために、なかなか失敗をさせられない状況もあるかと思います。
ですが、自らの失敗で学ぶことも多くありますし、経験したことはとても強い説得力を持ちますから、競合との競争力という観点でもとても重要です。
効率化を推進する中であっても、まず自分でやらせてみてアドバイスをするというような、教育がとても重要です。なかなか難しいですが、子育てと一緒でなんでもやってあげるようなことはしないで、まずは自分のやってみたいを大事に育ててあげること、そして危なくなったら助けてあげる、いっぱい褒めてあげるなど大事にして経験の底上げを図ることが大切です。
2点目:”組織のパフォーマンス”向上
2点目は、組織のパフォーマンス向上のために行うことです。
個人の能力が高くなっても、それが組織の向かう方向と
全然違うところへ向いてしまっては意味がないですね。
グループダイナミクスという考え方を使って向上させる方法について学びます。
具体的に、2つに切り分けることができ、それぞれではなく、両方を高めないと効果が得られないどころか、場合によってはマイナスになるおそれもありますので、注意してください。
その2つの項目は、1つ目、「集団目標と組織目標の一致度」、2つ目は「集団凝集性」です。
集団目標と組織目標の一致度の高め方
こちらは、きちんと上位方針を伝えることです。組織メンバーに対して方向性を示し、注力すべき活動が定まれば自然と同じ方向を見て活動を進めることができるようになります。
そのために重要なことが、組織目標を伝えるための上位方針の展開と、伝えて終わりではなく節目管理をしつつ、メンバーの活動がずれていないことを確認していくことが大切です。
これらの内容は、以下の記事を参考にしてください。
集団凝集性の高め方
集団凝集性とはいわゆる組織の一体感です。
これを高めるためには、以下の方法が示されています。
- 集団を小規模にする
- 集団目標への合意を促進する
- メンバーが一緒に過ごす時間を増やす
- 集団に属する資格を得難いものとする
- 他の集団との競争を促進する
- 集団全体への報酬付与
- 集団の孤立
集団を小規模にするとは、組織の人数を減らすこと。多くの人数を束ねると目が行き届かず、どうしても「誰かがやるだろう」という気持ちも強くなりやすいです。そのため、組織に属するメンバーの数を抑えることが必要です。
集団目標への合意を促進するとは、先ほどの組織の方針などを伝えた際に、納得が得られなければ反発を生むことになります。そのため、ただ伝えるのではなく、理解をさせ合意を促進することが大切です。
メンバーが一緒に過ごす時間を増やすとは、同じ場所で仕事をしたり、一緒に出張へ行ったり、食事会や飲み会を行うなどして過ごす時間が増えると、友情等の感情も生まれますので凝集性の向上につながります。
集団に属する資格を得難いものとするとは、その集団に入ることは会社内での高い地位にあることの証明となったり、周りから羨ましいと感じてもらえるといった資格を作ることです。これにより、所属するメンバーは意識が高くなり、モチベーション向上や組織としての特別感ができるため、凝集性の向上につながります。
ほかの集団との競争や孤立については、組織で一致団結して脅威に立ち向かおうという気持ちにつながったり、周りに味方が少ない状況となることで、メンバー間の信頼関係が向上するということになります。
集団への報酬付与とは、個人の業績に対する報酬付与ではなく、その組織に対して報酬を支払うことで、個人主義の意識ではなくチームワークを大事にする意識につながります。
このように組織を大事にする意識を植え付けることで
組織の凝集性は高まります。
まとめ
このように、組織全体でのパフォーマンス向上を狙うのであれば、個人のパフォーマンス向上施策を取るとともに、組織全体のパフォーマンス向上施策も取っていくことが必要です。
もし、個人のパフォーマンス向上にばかり気を取られてしまうと、組織メンバーがバラバラに動いてしまい、マイナスの効果につながる危険性もあります。
ですので、一番大事なのは組織管理を徹底し、みんなで同じ方向へ活動を進めること。そして、それがあった上での個人のパフォーマンス向上を行うこと。この順番は間違えないように意識をしましょう。