KGIやKPIについては以前も書いていますが、なかなか頭では理解できたつもりでも実際に振り返りを行い、目標を立てようとすると曖昧なものになってしまう。
指摘を受ければ『なるほど』と、思うのですが、なかなか上手くいかず、後日繰り返し相談に来られることが多いので、別の視点からも、KGIやKPIの事例を取り上げます。
今回は目標設定と改善活動などの筋道を別の事例で説明してみます。
同じ説明でも、身近なことや興味のあることなどに置き換えると
理解できなかったことができるようになったりします。
前回あまり理解できなかった人にもうまく伝わるとうれしいです。
今回の内容にあるKGIやKPIの基本的な言葉の説明などは”KPIやKGIとは”の記事で確認ください。
KGIの設定
KGI:風邪を引かない
今回は、日常的な事例を取り上げます。
実際にこの時期は体調を崩しやすいので、風邪を引かないようにするにはどんなことに気を付けるかという視点で構成してみます。
KSFを考える
KSFとは、KGIを達成する上で必要な要素になります。
ですから、風邪を引かないようにするにはよく言われる3つの重要な予防要素である『冷え・栄養・睡眠』を取り上げます。
KSFに関する補足
KPIを決める過程でこのKSFが頭に無いことが多く、KPIとKGIが結び付いていない場合もあります。
特にここは経験的にどうすべきかを判断できてしまうところでもあり、あまり考えずにKPI設定へと移れることもありますので、ピンと来ない方々が多いところになります。
経験があれば、KGIを設定してそのままKPIの設定へと移っても、頭の中ではこのKSFがしっかりとあるため、正解に繋がります。
ですが、場合によってはこれまでと違った要因、要素があるのに見落としてしまっていることにより、問題が解決しないということにもなりえるところです。
このKSFの設定は、要因分析ともつながるところであり、共通する点も多いことから、合わせて確認をされるとよろしいかと思います。
具体的な悪さの事例
例えば、KSFを形として表現できない組織に多いのが、カンコツ(勘やコツといった職人的な世界)に頼っているところです。
経験を形として書き出せないということですので、具体的には、『若手の教育が苦手であり、OJTを教育の基本としていますが、実際には見て覚えろという感覚に近い。』ことが多く見られます。
この場合、20年かかって先輩が習得した技術を20年かけて覚えるようなイメージで人が育ちますから、周りの競合他社に大きく後れを取ることになります。
企業を発展させていくためには、先輩の築いた技術や知識と言ったノウハウを短期間で吸収し、更に新しい技術につなげていく必要があります。
これがナレッジマネジメントになるわけですが、ここが弱いという悪さにつながることが多くあります。
ダメなKPIの設定
それでは話を戻してKPIの設定についての悪い例から説明します。
まずダメなKPIの設定は
- 冷え➡️部屋を暖かくする
- 栄養➡️暴飲暴食しない
- 睡眠➡️早寝早起き
このような曖昧な目標とすることです。
何をもって曖昧というかは、『人によって基準が違う』『その時々で評価が変わる』ことを指します。
部屋を暖かくする場合、23℃が良いと言う人もいれば、18℃が良いと言う人もいます。
早寝早起きといっても、平日と休日で変わる場合もあります。
このようなKPIを設定すると、達成できたかできていなかったかが正しく評価できませんから、最終的なKGIへと活動を計画して進めることができません。
良いKPIの設定
逆に良いKPIはどのようなものかというと 、このような曖昧な目標設定をしないようにするべきですので、
- 室温20℃、湿度50%を保つ
- お酒は忘年会でも1日3杯まで、普段は1杯まで
- 23時就寝、6時起床を基本とし、1日7時間寝るようにする
というように、時間や気温というような数値で明確に良し悪しの判断が出来るようにすることです。
KPIを立てた後はPDCAサイクルを回す
室温20℃、湿度50%を保つとKPIを設定しても、確認もせずに放置していたら意味がないですから、例えば、午前7時と午後7時に確認するとします。
その時に、室温は20℃でしたが、加湿器に水が入っておらず、湿度が30%だったとします。
この段階が、チェックのCです。
そして、湿度を50%にするために加湿器に水を入れるのが改善のAになり、1時間後にもう一度確認をしようとするのが、計画のPというようにPDCAが何度も繰り返されて、最終的にシーズンが終わった時に風邪をひかずに済んだかを評価するのが全体の流れとなります。
最後に
先日、社内の内部監査にて、いくつかの部門に対して上期の振り返りと下期の対策についての指導を行いました。
多くが、今回取り上げたようにKPIが曖昧なために振り返りも曖昧になり、対策も曖昧になってしまうというものでした。
結局、具体的に何をしなければならないかが分からなければ、普段も何をしたら良いかが分かりません。
KSFやKPIをより具体的にすることが各プロジェクトや会社、部の運営にとって重要になりますので、特に注意が必要です。