4月の会社方針を受けて部門目標を立ててるんですが、
今年もなかなか厳しい目標設定がされていて困っています。
そうですね。
基本的に、前年度維持という目標はないですからね。
組織の生産性向上をしていかないといけないですが、
組織の運営や管理で気を付けるポイントってありますか?
では、今回は組織の運営や管理について整理しましょう。
組織がしっかりすると、生産性は必ず向上しますから、
とても大切なところですよ。
4月は期初という会社も多いでしょう。
会社方針や経営ビジョン、中長期戦略などの上位方針を達成するため、これまで以上の個々の組織の生産性向上が求められる。
ですが、生産性向上をどうするのか具体的なやり方を教わっていないといった管理職も多く、ただやるだけの活動になっている例も多いです。
組織単位での生産性向上を進めるためには、組織としての基盤を整えることが一番大切です。基盤が整うと、メンバーは仕事がしやすく、効率よく進められますので成果にも結び付きやすく、効果も継続的に出やすくなります。
組織とは
アメリカの経営学者チェスター・バーナードの組織論が有名ですね。
「組織とは、2人以上の集まりによる集合体であり、2人以上の人間が何かを成し遂げようとする時に組織が形成される」と、定義しており、組織を形成する上で大切な要素を3つ挙げています。
それが、「共通目的」「貢献意欲」「コミュニケーション」です。これらのどれか一つでも欠けている場合には不完全な組織として、組織が健全に機能しなくなるとしています。
そのため、この3つの要素に注意して組織を運営、管理していくことが管理者には必要です。逆に言うと、これら3つを意識した組織運営、管理ができれば生産性の高い優秀な組織を作ることができます。
共通目的
まず、共通目的です。
組織の定義にある「何かを成し遂げようとする」の部分にあたり、その組織が何をするために形成されているかを組織内のメンバーで共有し、同じ方向を向いて活動することを指します。
ここでいう目的は最終ゴール地点を指し、このあと出てくる目標はゴール地点に到達するための中間地点を指します。目的はKGI、目標はKPIとも言い換えられます。
上位方針や目標の整理
今回は、冒頭にもあるように部長さんからの相談ですので、組織単位を部門として話を進めていきます。部門としては上位の本部方針や経営方針といったところで示されている中長期戦略や期の目標を達成することが目的(ゴール)となります。
ですので、まずは上位方針を理解すること、そして自部門がその上位組織でどのような位置づけにあるかを理解することが大切になります。
自組織のやるべきこと
本部方針や経営方針を理解したら、次にその中で自部門が任されている範囲がどこになるかを明確にしていきます。
例えば、5つの上位目標が設定されていれば、「1つ目と2つ目は自部署が中心となって進めていくところ、それ以外は他部署が中心となって進めていくため、支援に回るところ」、といった具合に注力すべき領域を定めることで、支援にばかり注力してしまって、自部署がやるべきところを行う余力がなくなってしまうことも減ります。
次に、それぞれの上位目標を達成するために何をしなければならないかを整理していきます。
今回の相談の例のように、上位方針では「労務費、経費の5%削減」のような形であったとすれば、部門目標では「何に取り組めば労務費、経費が削減できるか」を考えます。上位方針と同じように「労務費、経費を5%削減する」としてしまうと、何をすれば良いかが分からなくなってしまいます。
具体的には、「マスター帳票を作成することで、帳票作成時間を削減」であったり、「資料を毎回印刷してファイルに閉じていたものをデータ化してネットワーク上で管理する」であったり、何をして上位目標を達成するか具体化したものにします。
活動のスケジュール
何をしなければならないかが見えてくると、次にいつまでにそれを完了させるかが見えてきます。作業のボリュームであったり、何かのプロジェクトと一緒に活動した方が効率が良ければ、そのプロジェクトの日程であったり。
「マスター帳票を作成することでの工数削減」の例で言えば、①担当者のやり方を整理、②マスター帳票のたたき台作成、③仮運用、④問題点の対策、⑤マスター帳票の完成、⑥運用ルールの周知、⑦運用開始、といった流れで活動のスケジュールを決めていきます。
表などでいつまでにどのように進めるかが決められると分かりやすくて良いです。
毎月のKPI(節目目標)を設定
「はい、ではこのスケジュールに沿って、みんなでがんばりましょう!」と、いう管理では、なかなか上手くいきません。結局、活動が途中で止まってしまっていてギリギリになって「あれができていない」と焦ることになってしまいます。
そこで、「毎月の部内会議で進捗を確認しましょう!」や、「各活動の完了予定月には20日頃に進捗確認会をします!」といった具合に、中間での確認を行うことで活動をしっかりと進めていくことになります。
この時、確認をする際にはどの程度まで進んでいるべきかを決めておくことが節目管理をする上で重要になります。それがKPIの設定です。KPIについては、こちらの記事でも触れていますので、参考にしてみてください。↓
自組織内に目標を共有
そして、ここまでやって組織内のメンバーに共有することで、組織メンバーのみんなが迷わずにゴールに向けて活動を進めることができますので、効率のよい活動とすることができていく。
これが「共通目的」になります。
貢献意欲
次に、貢献意欲です。
貢献意欲とは、組織内のメンバーのためにも頑張ろうといった気持ちを持ってもらうことであり、ここには「みんなと一緒にがんばろう!」という「協働意欲」も含みます。
いずれにしても、前向きにみんなと一緒にやっていくという気持ちをメンバーみんなが持っていることが大切ということになります。
モチベーション
前向きにがんばるということは、モチベーション、いわゆる「やる気」を持ってもらうことが大切になります。そのため、組織内のメンバーのやる気をどのように出すかが管理者には求められます。
金銭や待遇などの褒賞を導入すると、目的が金銭や待遇の獲得に代わってしまい、今後も褒賞を与えないとがんばれない組織になってしまうこともあり注意が必要です。趣味などではそういった褒賞がなくとも楽しくがんばれるのは、自身の成長が感じられるからとも言われます。
共通目的で示したように活動の進捗具合を見える化したり、この活動をしたことで、組織内のメンバーの実力がこれだけ向上してきたというものが見える化することで、成長を感じさせることが大切です。
また、個人のパフォーマンスを向上させてあげられるような取り組みを織り交ぜることも有効ですので、こちらの記事も参考になるかと思います。↓
チームワークの向上
ここのモチベーションが上がっても、個人プレーに徹してしまえば組織としての成果は高くなりません。そのため、「みんなで一緒にがんばっている」状態を作ることが大切になってきます。
具体的にどのような対応を取ることで、個人プレーからチームプレーに切り替えていけるかについては、こちらの記事で紹介しています。↓
コミュニケーション
最後に、コミュニケーションです。
共通目的を有していて、みんなで支援しあって一緒に活動していても、コミュニケーションが取れていないと、個々の考えが共有できていないため、活動のやり方が異なっているために効率の悪い結果になってしまいます。
こんな感じで、途中のプロセスがバラバラになっているので、活動がまとまらないために、結果がいまいちになってしまうイメージです。
組織内でのミーティング
それを回避するために、途中のプロセスについても意思統一を図る必要があります。
みんなで一緒に進める上で欠かせないのがグループワークであり、その最たるものがミーティングになります。意見を出し合い、足りない部分をどう補っていくか、誰が何をしていくかといったことを相談し合いながら活動を高めていきます。
その際に大切なのが、
- 意見を否定しない
- 全員が意見を述べる
- 一人に押し付けない
- 全員で納得した結論とする
管理者の役目
組織のメンバーだけでは、なかなか難しいところもありますので、きちんと管理者がファシリテーターとして、意見を出させ、集約して、公平に結論を出していき、全員の合意を取り付けることが大切になります。
組織メンバーに任せっきりにせず、締めるところは締めるのが管理者の仕事です。
まとめ
活動を推進し、高い成果を出すために必要なことは、「目的」「現状把握」「プロセス」「節目管理」をしっかりとしていくことです。
「KGIとKPIの設定、そしてPDCAサイクルを回す」
これに尽きますが、組織単位での活動の場合には、加えて「一緒に取り組む協調性、協働性」があります。そのため、この組織の3要素を意識した活動となるように、管理者が中心となって組織運営をすることがとても重要になります。
「共通目的」「貢献意欲」「コミュニケーション」を忘れずにがんばりましょう!