中小企業診断士 R2年度事例Ⅰ再現答案編

中小企業診断士
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所長
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令和2年度の私の再現答案と得点開示結果を公開します。
一年前に不合格だった自分の解答を見てみて、
どんな気付きがあるか楽しみです。

事例Ⅰ

得点結果

74点

再現答案

再現答案の精度ですが、おバカなことに余った時間で問題用紙に解答をメモして見直しをしなかったので、ほぼ再現できています。過去問を解く際に実際の得点と合わせて参考になればと思います。

第1問

以下は、老舗蔵元 A 社を買収する段階で、企業グループを経営する地元の有力実業家である A 社長の祖父に関する設問である。各設問に答えよ。

(設問 1 )
A 社の経営権を獲得する際に、A 社長の祖父は、どのような経営ビジョンを描いていたと考えられるか。100 字以内で答えよ。

【解答】
①200年の年月に裏付けされた老舗ブランドを活かして地域の活性化につなげること、②孫に社長として経営を学ばせ、経験を通じて次期総帥として育成すること、③多角化による企業グループの事業規模を拡大すること。(100字)

所長
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過去の話なので、ある程度は与件から拾えるな。ということで
地域活性化、事業承継、シナジー効果による多角化の成功
このあたりが書ければ大丈夫そうですね。

文字数の関係で「インバウンド」、「シナジー」が書けていないので、もしかしたら減点対象かもしれませんが、文字数の中で収めるには「200年の年月に裏付けされた」や、「孫に社長として」といった言葉を削って、外部要因や効果について足せると良かったと思います。

(設問 2 )
A 社長の祖父が A 社の買収に当たって、前の経営者と経営顧問契約を結んだり、ベテラン従業員を引き受けたりした理由は何か。100 字以内で答えよ。

【解答】
理由は①経営顧問契約を結び、自身の経営ノウハウを孫に承継する体制を整えるため、②ベテラン従業員を引き受けることで、200年の年月で蓄積されたノウハウを承継し、雇用を守ることで迅速な事業展開を行うため。。(98字)

所長
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ここで誤解をしており、「前の経営者と」を読み飛ばして
祖父が経営顧問契約を結んだのだと勘違いして①の答えを

書いてしまいました。。。

ですが、意外と意味が通ってますね…。
ここ最近の事例では、白書にもあるように事業承継の観点での問題が多くなっています。②の観点での解答は書けたが事業承継に関して触れられなかったというツイートもいくつかあったので、要注意のポイントかもしれません。

ただ、ここでも「200年の年月で」と文字数の多い装飾で無駄にしている気がします。数字を入れることによる説得力を意識して書いていた気がしますが、なくても伝わるので削って、「モラール向上」などのキーワードを入れた方が得点は伸びそうですね。

第2問

A 社では、情報システム化を進めた若い女性社員を評価し責任者とした。ベテラン事務員の仕事を引き継いだ女性社員は、どのような手順を踏んで情報システム化を進めたと考えられるか。100 字以内で答えよ。

【解答】
①ベテラン女性事務員と2年ほど共に働いて知識や経験を受け継ぎ、②複雑な事務作業や取引先との商売といった情報を整理して、③それらの情報をDB化、一元管理することで情報システム化を進めたと考えられる。(97字)

所長
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情報システム化と聞いて、事例Ⅲの作法である
「DB化→一元管理」しか思い浮かばず。

まったくナレッジマネジメントの頭がなかったです。SECIモデルをベースに、ベテラン事務員の暗黙知であった業務を形式知化していく流れを経て、情報システム化を進めたというのが予備校各社共通の見解でした。

ですが、与件文からの抜き出しと事例Ⅲベースの解答構成ですが、そこそこのものにはなったと思います。このベテラン事務員が、離れた段落にある情報と紐づけできるよう気が付けたのが大きかったです。

このように多くの事例では設問文の内容が書いてある段落だけではなく、離れたところにも解答の構成要素となる情報が置いてあるので、そこに気付いて頭の中で情報がリンクするかが大事になってきます。本番の時間に追われる焦りと膨大な情報を初見で整理するのが大変で、見落としてしまうと大きく点数を落とすことになるかと思います。

第3問

現在、A 社長の右腕である執行役員は、従来のルートセールスに加えて直販方式を取り入れ売上伸長に貢献してきた。その時、部下の営業担当者に対して、どのような能力を伸ばすことを求めたか。100 字以内で答えよ。

【解答】
①直接、顧客から要望を獲得する能力、②ニーズを杜氏や蔵人、各部門責任者と共有し、新規事業に活かすための能力、③顧客ニーズに訴求できる新規事業を提案するための能力、などを伸ばすことを求めたと考えられる。(99字)

所長
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ニーズを獲得し、社内の開発部門と共有し、顧客へ提案、

という営業に求められる定番の能力を書いています。

また「などを伸ばすことを求めたと考えられる。」と多くの文字を犠牲にしていますね。
短く削りつつ、②ではコミュニケーション能力と書けると良かったように思います。さらに、これらの能力は直販方式だけでなく、ルートセールスでも必要な能力であるため、今回の回答内容は3分の2程度まで解答を削り、直販方式に必要な能力を身に着けることを書けると良かった気がします。

第4問

将来、祖父の立ち上げた企業グループの総帥となる A 社長が、グループ全体の人事制度を確立していくためには、どのような点に留意すべきか。中小企業診断士として 100 字以内で助言せよ。

【解答】
留意点は①地域に魅力を感じている新卒や地元民の採用を行い、各事業への適切な配置を行うこと、②ベテラン従業員のノウハウを教育で承継すること、③企業グループ全体のバランスを考えた評価と報酬制度とすること。(100字)

所長
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事例Ⅰのまとめは「茶化」=サ・ハ・ホ・イ・ヒ。

採用・配置・報酬・育成・評価
これで書けば大丈夫!

事例Ⅰは「採用・配置・報酬・育成・評価」の観点での施策を書くことが大事!これらの切り口から理念やビジョンの達成につなげていく回答をかくことが大事だと思います。

①では地域活性化、②では事業承継、③ではグループ全体の発展といった、第1問との関連が意識できているともっと良かったと思います。そのため、これらキーワードを含めつつ解答を構成するために、もう少し装飾している言葉を削りつつ、意味が通じるように書けると良かったと思います。

まとめ

1年経って振り返って気付いたことは、

  • 解答が与件文抜き出しになっており、冗長な表現が多い。
  • 第1問から第4問への流れ、関係性の意識が弱い。

73点取れていますが、たまたま上手くはまっただけだったと思います。実際に直前期の過去問では事例Ⅰは年度ごとの点数のばらつきが大きくありましたし、得意科目というイメージもありませんでした。

やはり、与件文の抜き出しでは解答に無駄な装飾が増えてしまい、書くべき解答論点をいくつか犠牲にしてしまうため、点数が伸びてこないように思います。この頃は与件文を抜き出さないとずれた解答をしているのではないかという恐怖感みたいなものがありました。

これを2年目に変えていくようにしてから、得点の方も安定してきたように思います。